MR (Mixed Reality)
MR (Mixed Reality)
現実世界と仮想世界を融合させ、両者をリアルタイムで相互作用させる技術。
ユーザーは、現実空間の中に仮想的な物体を配置し、操作・共有できる拡張体験を得られる。近年は、産業分野や教育、エンターテインメントなど幅広い分野で活用が進み、特に遠隔作業支援や没入型学習の現場で注目されている。
●MRの変遷
MRの概念は1990年代に提唱されたが、本格的な技術実装は2010年代以降だ。2016年、Microsoftの「HoloLens」の登場により商業利用が加速した。 当初は技術的制約が大きく、主に実験的用途や限定的なビジネス活用に留まっていたが、近年はハードウェア性能の向上とともに実業務での活用が進んでいる。
●MRとVR・ARの違い
・MRとVRの違い
MRは現実の景色が見えるが、VRは完全に仮想空間だけを見る。
・MRとARの違い
MRは仮想のものが現実の場所や動きに合わせて反応するが、ARは現実の景色に仮想の情報を「重ねるだけ」。
・MRを使うとVRやARとはどう違うか
MRでは、現実と仮想がその場でつながり、互いに影響し合う体験ができる。VRは現実から切り離され、ARは重ねるだけで連動しない。
●MRの仕組み
MRは、以下の技術要素を組み合わせて実現されている。
・現実空間のマッピング技術(SLAM)
現実の空間を正確に把握する仕組み。風景や物体など現実世界の情報をカメラやセンサーで読み取り、地図のように記録する。
・3Dオブジェクトのリアルタイムレンダリング
仮想のものをその場で映し出す仕組み。現実の中に仮想の物体をすぐに表示できるよう、コンピュータがその場で映像を作り出す。
・空間認識・位置追跡センサー
人や物の動きを追いかける仕組み。人の行動をセンサーで読み取り、仮想の物体がそれに合わせて動くようにする。
・ユーザーの動作認識・音声認識
人の動きや声をキャッチして、仮想世界に伝える仕組み。人の動作や声をセンサーやマイクで読み取り、仮想の世界でその通りに動かす。
●活用例
MRは製造や医療など、「現場 × デジタル」のリアルタイムな連携が求められる分野で急速に活用が進んでいる。
・製造業の遠隔作業支援
・医療分野の手術シミュレーション
・教育現場での立体的な教材提示
・建設業での設計ビジュアライゼーション
・エンタメ業界での新感覚ゲーム体験など
例えば、自動車メーカーでは仮想オブジェクトとして車両を表示し、実物と同じサイズで外観の確認や、内部構造を可視化することで、デザインや機能の検討を行っている。また、オフィスや会議室、自宅などでホログラムを使って、あたかもその場に存在するかのような体験の提供が可能。さらに、ホログラムに対して拡大、縮小、回転、分解といった操作が可能で、プロジェクトの検討や議論をよりリアルに支援できる。
このように、MRは現実と仮想を高度に融合させた技術であり、新しい形の情報共有や作業効率化を可能にする技術だといえる。